プラスチックリサイクルの現状と熱分析

プラスチックが汎用的に利用される材料になって以降、プラスチック製造業者は合計83億トンのバージンプラスチックを生産しています。プラスチックは、建築分野、包装分野、自動車分野、医療分野など多岐にわたり利用されているため、これは驚く数字ではありません。さまざまな形状や色のプラスチック材料の生産と使用は大きな成功を収めています。

しかし、それではその間に生産、使用されたプラスチックはその後どうなっているのでしょうか。

 


廃棄されたプラスチックはその後どうなりますか?

世界的なプラスチックのリサイクル率は、生産された全体のわずか10〜16%にとどまっています。残りはエネルギー回収のために焼却されるか、埋め立て地に蓄積されます。最近までは、プラスチック廃棄物はインドや中国、東南アジア諸国に輸出されていましたが、多くの廃棄物輸入国の法律改正により、大量のプラスチック廃棄物の出荷ができなくなりました。その結果、プラスチックをリサイクルする取り組みは、グローバルレベルで増加する必要があります。



図1:プラスチック廃棄物の流れ

 


プラスチックをリサイクルする2つの方法


ケミカルリサイクル(化学的再生法)

プラスチック廃棄物の化学構造をより短い分子に変換するプロセスです。生成されたモノマーは新しい化学反応に使用できます。

メカニカルリサイクル(物理的再生法)

廃棄物から化学構造を変えずに再顆粒を生成するプロセスです。

もちろん、プラスチックのリサイクルには課題があります
プラスチックのリサイクルは、密度、電気的特性、磁気的特性、色が大きく異なる金属のリサイクルほど容易ではありません。人間や機械にとって、金属を互いに分離したり他の材料から分離したりするのは簡単です。ただプラスチックとなると話は別です。

さまざまな種類が存在するプラスチック廃棄物は分離が難しいため、メカニカルリサイクルされたプラスチックはバージンプラスチックには純度では及びません。そのため、バッチ品質が最終製品に必要な材料特性を一貫して満たすことを確信できないため、再生プラスチックの使用をためらっています。

通常、再生プラスチックの価格はバージンプラスチックよりも低いと予想されます。しかし、リサイクル施設への輸送、廃棄物の洗浄、プラスチックの細断および再溶融のプロセスは複雑であり、結果的に再生プラスチックの使用はコストを増加させる可能性も否めません。さらに、再生プラスチックの使用による品質管理・保証は、さらなるスタッフと機器の追加費用にもリンクしています。

 


熱分析による再生プラスチックの品質管理

リサイクルされたプラスチックの品質を確認し、潜在的な不純物を検出および特定するには、再生プラスチックの適切かつ継続的な分析が必要です。
示差走査熱量測定(DSC)と熱重量分析(TGA)の両方で、再生プラスチックの不純物を迅速かつ簡単に特定できます。
Proteus®ソフトウェアの「AutoEvaluation」機能を使用することで、測定曲線のすべての関連する影響が検出されます。また「Identify」機能では、サンプルに含まれるポリマーの識別にも役立ちます。

 

 

Why the Recycling Industry Benefits from the Use of Thermal Analysis

この記事はNETZSCH Thermal Analysis Blogを翻訳・一部改変したものを掲載しています。

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