原点を測る | netzsch 熱分析の最先端

原点を測る

2021.03.10

 
皆様、こんにちは、ネッチ・ジャパンの篠田です。
1都3県で緊急事態宣言が延長されて、何かこう閉塞感が続きますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?何とか早く収束するのをひたすら祈るばかりです。
 
わが社では、国内だけでなく、いろいろなWeb会議にドイツから参加させられることが多くなりまして、毎日のように何らかのWeb会議につながっています。
昨日も、世界のNETZSCH責任者の会議がございまして、自宅から参加したのですが、開始時間になってもなかなか始まらなくて手持ち無沙汰なものですから、刀(!)を抜いて、丁子油で手入れをしておりましたら、ビデオをOFFにし忘れていまして、「What are you doing!」とさっそくつっこみが入りました。
親から購入した新刀、惜しむらくは一本目釘で、すこし柄にガタがきており、目釘抜きを買って茎の交換に挑戦してみようと思います。ついでに海外の皆さんに、きらり、きらりと見せびらかしたのですが、銘刀尚行、数年前に研ぎに出したばかりですので美しく刃紋が浮き上がっております。金属の反射光には、何故か人を魅惑するものがございます。
 
本稿でも何度か紹介させて頂いております、反射率の変化を計測して、熱物性を測定する技法、パルス光加熱サーモリフレクタンス法も、日本刀の煌きにも似た魅惑があるのですが、Web会議の開始時間同様、しっかりと決まっていないといけないファクターがあります。時間の原点です。
 
フラッシュ法も、超高速レーザーフラッシュ法ともいえるパルス光加熱サーモリフレクタンス法も、瞬間的に試料を加熱して時間応答を観測するもので、熱的現象の本質である拡散現象を直接見ているといえます。NETZSCH社製のフラッシュアナライザーの場合、高速フォトダイオードで加熱パルス光を検出して、その波形をそのまま有限パルス幅補正に用いています。パルス光加熱サーモリフレクタンス法では、そうもいきません。なにせパルス発光時間0.5psの間には、光が0.15mmしか進まない世界ですから、試料の位置と検出する位置の違いが顕著にきいてきます。やはり一番良いな、と思ったのは、金属薄膜を用いる方法です。
) T. Yagi, N. Taketoshi, T. Baba, Proc. of 33rd Jpn. Symp. Thermophys. Prop. (2012) A 114
 
パルスの実行幅に対して、Mo10nmの熱拡散時間は十分小さいので、応答信号は、パルスの時間積分、パルス波形がガウシアンだとすると、その積分の誤差関数となります。ですので、応答信号の立ち上がりとピークの中間が、パルス中心、つまり時間原点(重心法における)となります。まことにGood idea!です。
ということで、さっそく、PicoTR用のMo10nmとNanoTR用のMo100nmを用意することに致しました。あらためて、TiNの標準物質で測定してみると、時間原点の決定がいかに重要か解ります。
 
さて、今回のテーマは、時間原点の決め方、誤差関数とか出て参りましたので、しっかり思い出しておかなければならないと、マセマの数学の教科書1冊分、読んで、練習問題も解く羽目になりました。大学時代、よっぽどさぼっていたのか、デジャビュがありません。そろそろ次回には、レオメーターの話をブログに挟みたいと思うのですが、その前にベクトル解析の教科書1冊分の復習が待っております。世にいうレオロジストは、ベクトル解析のスペシャリストに違いないと勝手に思っているのですが、追い付くには先が長そうです。
それにしても、マセマのシリーズは本当に解りやすい。。。今時、解りやすいって本当に重要なことだと思いました。
 
最後になりましたが、次週の応用物理学会で、パルス光加熱サーモリフレクタンス法装置(NETZSCHグループPicoTherm社製品)のWeb展示をさせて頂きます。物理の研究者、先生方は、皆難しい話をされますので少々苦手なのですが、Web展示ならば少し敷居が低いかなと(笑)今回は久しぶりに参加させて頂くことに致しました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

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