10周年
今日は。ネッチ・ジャパンの篠田です。
早いもので、2012年のネッチ・ジャパン株式会社の設立から十年が経ちました。
それまでは、ブルカー・エイエックスエス株式会社(現ブルカージャパン(株))の熱分析機器事業部が、ドイツのネッチ製品を扱っていたわけですが、そのさらに前は、ネッチゲレイテバウ東京事務所がございました。事務の方を含めてたった3人しかいないその事務所の、ヒエラルキーの底辺におったわけですが、2004年、(ネッチ社の国内総代理店になった)ブルカー社に移る直前に、超高感度DSCとSTAのセットという、良い受注を受けることができました。東京大学の藤田研究室様(河野先生)からでした。
ブルカーになって間もないころ、藤田先生と、当時のブルカーの社長の故植木定雄さんがお話をされていて、丁度足元に納入したてNETZSCHの梱包箱がおいてあって、これは何ですか、最近このドイツの最新鋭の熱分析装置を買ったのですよ、いえ、これはブルカーが最近代理店になったばかりです、と話がはずんだらしくて入社そうそうポイントが高かったです。
植木様にはご生前、本当にお世話になりまして、会社のありかた、ものの考え方など非常に多くのことを学ばせて頂きました。
それから、約20年近い月日が立ちまして、この度、東京大学藤田研究室様の協賛企業にならせて頂くことになりました。正式には、佐藤宗太先生が直接ご担当されておられる、社会連携講座「統合分子構造解析講座」公開シンポジウムの協賛企業という扱いで、まことに名誉なことです。ドイツ資本の会社ではございますが、和魂洋才、日本の科学技術の発展に少しでも貢献できることは、望外の喜びであります。
現在、ネッチ社は、JEOL様とTG-MSで積極的に協業をさせて頂いておりますが、そのきっかけとなりましたのが、東北大学時代の佐藤先生のひとこと、熱分析データはが良いが、MSのデータはJEOLの方が良いなあ、でした。結果このTG-MSの案件は初めてのJEOL-NETSCHの協業装置として佐藤先生に導入頂き、この度「統合分子構造解析講座」にも今月無事納品させて頂きました。
昔の強敵は、今日の親友、ということで、薩英戦争後の薩摩とイギリスのごとく、急接近することになったのですから、世の中というものは解りません。いろんな方々との良いつながりが積み重なって、今の会社があるということは次世代にも伝えていきたいと思います。
そんなこんなで、10年間、地味に右肩上がりに成長をしてまいりました。その間に多少の社員の出入りはあったものの、重要な社員は一人残らず仕事を継続してくれたのが大きかったと思います。
会社を人間に例えますと、私も含めて細胞のひとつであるわけで、新陳代謝によっていつも同じというわけではない。ですが、それによって、全体の存続が保たれているわけです。実は、これは元ネタがございまして、落語家の桂枝雀さんと中島らもさんの対話のYouTube動画です。桂枝雀、中島らも、対談、で検索してみて下さい。(惜しいことの両人とも故人となられましたが、両人とも話術のたくみさは絶品です。)
さて、若干くたびれぎみである細胞のひとつである私が、この先どのように熱分析業界に貢献できるか不明ではございますが、今後とも宜しくお願い申し上げます。
東京大学 – 三井不動産 産学協創シンポジウム「分子構造解析が拓く新学術と新産業」
https://satolab.t.u-tokyo.ac.jp/featured/symposium2022/