シュルツェン

2023.08.01

こんにちは。ネッチ・ジャパンの篠田です。
暑い夏が続きます。特にこの夏は、WMOなどによると過去最高、12万年ぶりの暑さ、だそうで。

 
日本の大洗でも流行っていた、ドイツ語の歌の、Der Tag glühend heißという言葉がまさしく連想されます。
都内のコンクリートブロック造の我が家も、毎年夏になると熱との格闘になりましす。過去にもいろいろやってみて、断熱材をおいたら、劣化してぼろぼろになったり、タープをはったら台風でばたばた音がして近所からクレームがきたり、自動散水装置で雨漏りしたり、と悪戦苦闘を繰り返してまいりました。

 
本年は、趣向をかえて、“シュルツェン”対策をしてみることにしてみました。シュルツェンとは、ドイツ語で“エプロン”のことですが、わがドイツ国防軍のⅣ号戦車の写真を見ると、特にH型など、車体の両脇に大きな薄い装甲板を吊り下げていて、これをシュルツェンと呼びます。なぜこれがあるかというと、成形炸薬弾と、対戦車ライフル対策で、要はメイン装甲から“オフセット”することによって、被害を最小限に留めるものです。目指すのは、直射日光からのオフセットです。

 
 わが家のシェルツェンは、60cmの特大タイルです。屋上に、高さ5cm角のピンコロ石を等間隔に並べて、その上にタイルを敷き詰めていくだけです。タイル“下面にアルミホイルを貼れば完璧です。(タイルに吸収された熱が下方向に輻射で伝わるのを防ぐためです。上面に貼ったら眩しくて近所からクレームが来るのは必至です)。粗面のピンコロ石ですので、タイルの熱が伝導で屋上に伝わるのを最小化しているのもポイントです。これが大変コスパがすぐれていて、買った当時、1m2あたり2千円くらいで済みました。これだけでは味気がありませんので、周囲をぐるりと大型の足つきプランターで囲って、ハーブを植えています。何だそれだけ、と思うかも知れませんが、その効果たるや絶大です。セラミックなので劣化が無視できるのと、鏡面に近いので反射率も高いです。中間の空気層を風が通って、屋上表面の温度がそこまで上がらないので、夜間に悩まされていた天井からの輻射熱がほとんど感じられなくなりました。
猛暑の熱対策の一押しは、“シュルツェン”!

 
こうしてみると、巷に溢れている車が、全く熱対策がされていないことが解ります。少し日向に駐車しただけで、車の中がフライパン状態、面倒くさいのでシェードをかける人はほとんどいませんし、走行中ではもちろん使えません。いっそ、天井を2重にして、暑いとウィーンと持ち上がって、オフセットできたら大分温度上昇が防げそうな気がします。

 
ここまで話をしておきまして、“オフセット”DSC容器の話をしようと思ったのですが。。
DSCを使用されている皆様は、クリンプ容器のことは良くご存知だと思います。これは特に薄膜ポリマーに有効で、クリンパーで押しつぶすことにより、試料かの発熱/吸熱を効率的に容器およびDSCセンサーに伝えることができるのですが、容器が歪んで定量性に悪い影響を与えるのと、オートサンプラーでつかむのが難しくなるというデメリットがあります。これを解決するために十数年以上前に私が考案しましたのが、バケツ型のアルミ容器を二つ重ねて(間には試料)、スライドさせて固定する方法です。これだと高さが確保できますのでオートサンプラーでつかめますし、融解しても蓋からにゅるにゅると試料が出てこない、容器が歪まないなどのメリットがあります。これをネッチ本社に報告したところ、スライドイン容器という非常に優れた、しかもバカ高い容器となって完成してきました。(元ネタがこれとは誰も知りませんが)

 
原点のオフセットに戻りまして、こちらの方が簡単に安く済みますので、動画にとってブログに入れ込もうとしたのが、今回のブログの本来のテーマでした。ところが。。今回はうまくいかない!どうやら、Al容器の材質が少し硬くなって、外側の容器がうまく広がってくれないのが原因のようです。ちょっと残念。でも、スラインドイン容器の方は、そういうことは無いので、新しい熱分析の教科書が出たら掲載しても良いくらいのものだと思います。

 
それはそれと致しまして。。暑かろうが寒かろうが、それをネタに生き残りの知恵を絞る。

今後とも、そんなネッチ・ジャパンを宜しくお願い申し上げます。

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