若返りの秘宝
こんにちは、ネッチ・ジャパンの篠田です。
皆さまお元気でしょうか?ネッチ・ジャパンの社長に就任してから早14年目、私も先月で還暦を迎えました。ユーザー、代理店、協力会社の皆様におかれましては、大変お世話になっておりました。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
ところで、ドイツでも還暦のお祝いをするのかと申しますと、やはり区切りの良い年は特別だそうです。どう感じますか?とドイツ本社の方に聞かれましたので、「Right leg in the coffin(右足が棺桶に入っている)」と即答したのですが、棺桶に片足を突っ込むという日本語の言い回しは通じましたでしょうか?
日露戦争の頃、大捷となった日本海海戦の作戦を立案した智将秋山真之提督は、「大抵の人は、妻子を持つと共に片足を棺桶に突っ込み、半死し、進取の気象が衰えて退歩を重んじる」と言ったそうですが、もしそうならば、私はすでに左足は棺桶に突っ込んでいるわけですから、死んだも同然、ということになってしまいますが。
まあ、百二十年前の昔でしたら好々爺となって、あとは余生を楽しむことができたのでしょうが、家のローンも残っているし、まだまだ働かなければなりません。
それにしても、六十年もの間、一度たりとも飢えを知らず、戦争にいくこともなく、入院らしい入院も大怪我もせず、異性を騙しも騙されもせず、かけ事にはまることも無く(厳密には競馬で一度さつき賞で一点買い、十二倍の大穴を当てたのが最初で最後です、パチンコは生まれてはじめてやってものの一分でスリーセブン、その後五回だけやって勝率五割)、平穏無事にこられたのは、幸運だったとしか言いようがありません。
イラク侵攻にともなう装置購入予算の遅れを含めて、ただいろんな不幸が重なって博士課程が失敗したのは心残りではありますが、その分自分の分をわきまえ、世の優れた研究者の黒子として、舞台係としての役割に徹し、それについては役目をある程度果たせたのではないかと思いますし、これからも頑張りたいと思います。
また、その経験からも戦争は嫌いでして、その点誤解はないように頂きたいのですが、防衛関連技術ということには大変興味があります。近年分析業界でも、防衛関連に多額の予算がついていることが公表されておりますので、今回は(も?)それ関連のお話をさせて頂きたいと思います。
温故知新と申しますが、面白いのは第三帝国のトンデモ兵器、「V1」「V2」は皆さんご存じでしょうが、「V3」ってご存じですか?
手塚治虫の漫画ビッグXのことではなくて、実際に開発されていた、通称「Vergeltungswaffe 3:フェアゲルトゥングスヴァッフェ 3」 15センチのムカデ砲のことです。多薬室砲で、砲身にそって薬室が配置され、時間遅延で発火させて弾を加速させて行き、砲口初速が毎秒2km近くまで達成できたとのことです。
また、ドラえもんに空気砲というのが出てきますが、実用化しているんですね。やはり当時のドイツの技術は世界に冠たるものがありました。そこへ行くと旧日本軍の兵器ではあまり見るものがなく、やはり根性でカバーするしかなかったのかな、と思いますが、八九式重擲弾筒は例外です。これにGPSがついたら、塹壕戦では無敵でしょう!? あと、Z兵器くらいでしょうか? 反射鏡で収束したマイクロ波で、数メートル先の兎を殺せるくらいまではいったそうですが。レーダーは立ち遅れていたのですが(基幹技術は日本発明の八木アンテナなのですが)、サマール島沖の海戦には間に合いまして、大和以下が敵空母を撃沈するのには役立ちました。このレーダーを開発されたのが、かの霜田光一先生。先生のレーザー物理入門は、レーザーを学ぶ学生必読の書となっております。私も、大学の電磁気の講義で直に拝聴することができたのは幸運でした。
とは言っても、通常兵器でいくら優れたものを持っていても、現時点では、核兵器がなければそれで脅されたら終わりなわけで、それを凌ぐものを発明するか、使えない、もしくは使いたくないような状況に持っていくしかないわけです。やっぱりレーザーがらみかなぁ。これも日本発で、気体を使ったレーザー素子が開発されているそうで、平時にはスペースデブリの掃除、防衛にも威力を発揮しそうな気が致します。
私は、勘が鋭いのだけが取り柄で、いよいよ危ない、というメールを知人に送って数時間後、プーチンの侵攻が始まったのですが、ここまで継続するとは思ってもおりませんでした。かりそめの平和を謳歌せんと、毎週通うのは、遊就館の喫茶店「結」。海軍カツカレーを口に運ぶ私でありました。(最近は、別途選択できる横浜カレーの方がおいしいと思う。ここの天ぷらうどんは絶品。)
今回はこのあたりにさせて頂きたいと思います。







