DEA 288 Ionic誘電硬化モニター


熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂などの硬化プロセスをリアルタイムで測定可能

DEA 288 Ionic
ポータブルタイプ(左) / ラックタイプ(右)

特徴

  • 速硬化型のUV樹脂から遅硬化型の熱硬化性樹脂まで、様々なサンプルを測定可能
  • 研究開発からプロセス管理まで幅広く使用可能
  • 多種多様な測定に対応できる高感度多目的センサー
  • 専用の加熱炉やプレス機により、加熱、UV照射、湿度条件下、圧力下等の様々な測定に対応
  • DMAやレオメーターとの組み合わせにより材料特性を包括的に分析

原理

基本的な原理はインピーダンス測定と同様です。
電極間の試料に正弦波電圧を加えると、試料内の正の電荷を帯びた粒子は陰極に、負の電荷を帯びた粒子は陽極に引き付けられます。これにより、応答信号である正弦波電流(応答)には位相シフトが生じます。

電流信号における振幅と位相シフトは、イオンと双極子の易動度の関係を示しており、誘電(熱)分析はこの関係を利用して硬化をモニタリングします。

正弦波電圧を加えると、双極子は配向し、イオンは反対に帯電した電極に向かって移動します。これらをそれぞれ、ε’ (誘電率)およびε’’(誘電損失)とし、下記の式で表されます。

誘電率:ε’ = (1/ωC0)・[-R / (X2+R2)]  (キャパシタンス成分)
誘電損失 :ε”= (1/ωC0)・[X / (X2+R2)]・・・  (抵抗成分)

誘電分析では、硬化のパラメーターとして誘電損失に着目し、誘電損失と関連付けられるイオン粘度として出力されます。

イオン粘度:σ = (ε”・ω・ε0)-1  ε0:真空の誘電率

センサー

ミクロンセンサー(MS)

検知範囲:2.5 mm2/26 mm2/70 mm2

最高温度:200 ℃/350 ℃※

電極間隔:1 μm/5 μm

主な用途:塗料、インク、接着剤

ミニIDEXセンサー(電極統合型)

検知範囲:33 mm2

最高温度:275 ℃

電極間隔:100 μm

主な用途:すべての樹脂(孔質)

IDEXセンサー(電極統合型)

検知範囲:233 mm2

最高温度:200 ℃/275 ℃

電極間隔:115 μm

主な用途:すべての樹脂(エポキシ、ポリエステル、ポリウレタンなど)

フィルター付きIDEXセンサー

検知範囲:233 mm2

最高温度:200 ℃/275 ℃

電極間隔:115 μm

主な用途:炭素繊維強化プラスチック(CFRP)

モノトロードセンサー(TMM)


検知範囲:13 mm2/79 mm2/707 mm2

最高温度:220 ℃

電極間隔:―

主な用途:SMC/BMC、ポリウレタンフォーム

ツールマウントセンサー(TMS)

検知範囲:214 mm2

最高温度:220 ℃

電極間隔:500 μm

主な用途:すべての樹脂(エポキシ、ポリエステル、ポリウレタンなど)

表面コーティング付きツールマウントセンサー(TMCc)

検知範囲:254 mm2

最高温度:220 ℃

電極間隔:500 μm

主な用途:導電性フィラーを含むすべての樹脂、複合材料、その他ポリマー

オプション

DEA 288 Ionic には、目的に応じた最適なシステム環境を整える、各種の付属品や別売品を用意しています。

ラボ用プレス機

試料に対して熱と圧力を同時に加えることができ、実際の処理条件を模した環境を再現可能。不飽和ポリエステル樹脂(SMC/BMC )やプリプレグ材なども測定可能。

 

多機能ラボ用加熱炉

-140~400℃の範囲で加熱、温度保持、冷却を簡単に行うことが可能。2種類のパージガスのラインを接続でき、任意の雰囲気で測定できます。また、UVランプのライトガイドや水蒸気発生装置に接続できるように設計されています。

 

UVランプ

本装置は、接着剤、インク、塗料のUV硬化などの光誘起反応の測定に使用する、OmniCure S2000 UVランプに対応。

仕様

  • 型式名
    DEA 288 Ionic
  • データ取得方法
    全チャンネル完全同時測定
  • 最小データ取得時間
    <5ミリ秒
  • センサー接続
    シールド付4線方式
    (正確な測定の前提条件となるワイヤーの抵抗と容量を保証)
  • DEAモジュール
    ポータブル:最大7チャンネル
    ラック:最大8チャンネル(16チャンネルまで拡張可能)
  • 入出力
    測定シグナルおよび、圧力センサー、温度センサー等の周辺機器のシグナルの入力/出力
    装置のトリガにも対応
  • 加熱炉
    -140~400℃(UV測定対応)
  • ラボプレス機
    RT~350℃ / 最大荷重 10kN

アプリケーション
データ

SMC試料の誘電分析結果比較

図は2種類のSMC部品をプレス機で測定したグラフです。
試料をモノトロードセンサーに設置し、温度を135℃、3気圧(青曲線)と50気圧(赤曲線)の2つの圧力をかけています。厚さは5mmの試料を用い、各試験の周波数は1000Hzで測定しました。

高圧下では硬化がより促進されるという結果が明瞭に示されています。硬化が始まるまでの動作時間を示す外挿開始温度は、50気圧下(赤)の測定では27秒(約20%)早く始まります。測定結果を比較すると、580秒時点でのイオン粘度は、3気圧下の場合に対し50気圧下では60%増という高いイオン粘度を示しました。こうした結果がプロセス最適化における重要な指標となります。

有機LED向け保護フィルムのUV硬化誘電測定

図は有機LED (OLED) や太陽電池の保護に使用されている、柔軟性の高いシーラント材のUV硬化を測定したグラフです。単一成分のエポキシ樹脂をIDEXセンサー上に厚さ200μmの薄膜として塗布してラボ用加熱炉内に配置し、UVランプのライトガイドに接続しています。

室温環境において60秒間、55-60 mW/cm2 UVAの強度、周波数は1000HzでUVライトを照射しました。UV照射開始後わずか17秒でイオン粘度が上昇し始め、約400秒(6.7分)後には収束しています。誘電分析ではごく短い時間に起こる反応も検出することができます。

エポキシ系CFRPの硬化時間比較

図は金型中のエポキシ系炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を表面コーティングされたツールマウントセンサー(TMCc)で測定した結果です(120~160℃の範囲で5条件)。

注入された樹脂は、高温であるほど硬化開始までの時間が早く、同様に硬化終了までの時間も早いことが分かります。
120℃と160℃で硬化させたものでは硬化終了まで5分以上の差があり、DEA288 Ionicはこのように硬化条件の検討に使用できます。

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